掘削と山留めに関する計測

掘削と山留めに関する計測山留めのような仮設構造物は、設計計算に設定された条件が維持されるよう管理することにより安全が確保されます。そこで、計測項目として山留め壁や支保工など山留めを構成する部材の変形・応力、地盤の沈下・水平移動、地下水の動きなどが挙げられます。これらを計測することにより、設計時に想定した条件と異なる現象をいち早く察知し、山留め崩壊・周辺地盤への悪影響などを未然に防ぐと云う目的をはたします。

道路盛土の計測

道路盛土の計測道路や鉄道の建設を行う場合、現場の基礎地盤面に土を積上げ加圧する、即ち盛土を行うことがよくあります。この時、土は全体的に圧縮されることは当然として、地中に軟弱な粘土層があれば、土を盛った重みでその層が潰れるように圧縮し地盤面は大きく沈下する、いわゆる圧密沈下が発生します。また、基礎地盤面が盛土の重さに耐えられず、横に滑り出す現象も発生することがあります。そこで、これらのことを考慮して地中での沈下・水平移動、盛土面での沈下、盛土周辺の地表面での変位などを計測しながら工事を行うことで、設計時の条件設定と異なる現象をいち早く察知し、盛土本体の健全性の確認や周辺への悪影響を未然に防ぐことを目的とします。

造成盛土の計測

土地の造成において、基礎地盤面から盛土を行う場合、地中に軟弱な粘土層があれば、圧密沈下が発生します。この現象が発生すると盛土面では不同沈下が現れます。また基礎地盤面が盛土の重さに耐えられず横に滑り出す現象も発生することがあります。そこで、これらのことを考慮して地中での圧密量・水平移動、盛土面での沈下、盛土周辺の地表面での変位などを計測しながら工事を行い、設計時の条件設定と異なる現象をいち早く察知し、盛土地盤面の沈下性状の把握と将来予測を行い周辺への悪影響を未然に防ぐことを目的とします。

近接施工の計測

近接施工の計測都市部ではビル、鉄道、高速道路など地上に重要な構造物が所狭しとひしめき合っており、また、地中にもこれらの基礎や地下鉄、地下街、埋設管などが網の目のようにはり巡らされています。このような重要な構造物の近隣で工事が行われることは珍しくありません。特に地下工事においては、工事による影響で周辺の地盤が動き、更に進行して近隣の構造物が沈下したり傾いたりと悪影響を与える恐れがあります。そこで、これらの構造物の近隣で地下工事を行う場合、周辺地盤の沈下・水平移動、構造物の沈下や傾斜それに地下水の流れや水圧変動などを計測し、周辺への影響を未然に感知して対策の検討に導く施工管理を目的とします。

山岳トンネルの計測

山岳トンネルの計測山岳トンネルは一般的には地山を掘り進み、掘削表面にコンクリートを吹付けて、またロックボルトを地山に打込むことにより支えています(NATM工法)。トンネルを掘ることにより地山はトンネル空間へ向かって土圧が解放され、トンネルを押しつぶそうとする力が働きます。そのため、トンネル掘削周辺の地山に変状が現れたり、トンネル内部が変形したりする現象が発生します。そこで、トンネル内部の変位、ロックボルトなどの支保部材の応力、周辺地山の変位や地下水の変化などを計測し、トンネル工事の安全性や周辺への影響を未然に防ぎながら工事を進めていきます。

シールドトンネルの計測

シールドトンネルはシールドマシンで地中をモグラのように掘り進み、コンクリートなどで形成されたセグメントを即時にリング状に組み立て掘削面を覆います。このような工事では、安定していた地山を掘り進みトンネルを構築するため、一時的に地山が不安定な状態になり、周辺地盤や地下水が変動して地表面が沈下したり、トンネル内部が変形したりします。そこで、シールドセグメントに作用する力とセグメント応力の測定および掘り進むことによる周辺地盤や構造物等の沈下・移動・傾き及び地下水圧等を計測し、工事の安全性や周辺への影響を未然に防ぐための計測を行いながらシールドマシンを掘進させてトンネル工事を進めます。

地滑りの計測

地すべりの計測山の中など起伏が激しい場所に道路や鉄道を建設するとき、斜面に新たな土を盛ったり又は切り取ったりします。特に斜面を切り取る場合は、今まで安定していた地山が土を切り取る事によりバランスを崩し、不安定な状態となり、やがては地滑りを起こすことがあります。そこで、地山表面での変位・地中での水平変位・地下水や降雨量等を計測し、事前に地滑りの兆候を捉えることにより、工事中及び工事後の安全性や地盤の安定性を確認するとともに、周辺への悪影響を未然に防ごうとするものです。また、盛土・切土に関係なく、地滑り地域においては傾斜地盤の移動変位量を常時監視し、自然現象による地滑りの予知監視をも行っています。

ケーソンの計測

ケーソンの計測地上でコンクリートの筒状構造物を構築し、その内部底面の地盤を掘削しながら主としてケーソン本体の重量を利用して地中に沈下させ、所定の良質な地盤に到達させるケーソン基礎工法においては、ケーソン本体にかかる土圧や水圧、ケーソンと土との間に働く摩擦力、刀口(ケーソンの先端部)にかかる反力などがケーソン基礎を沈める際に重要な問題になります。そこで、これらの外から働く力(土圧・水圧・周面摩擦)やケーソンの姿勢(傾きや変位)管理計測、また時にはケーソン本体内に発生する応力等の計測をすることによりケーソン本体の挙動を監視しつつ、目的の深度に沈設します。また、ケーソン周辺地盤などの変位等を計測することにより、周辺への悪影響を未然に防ぎながら工事を進めていきます。

ダムの計測

ダムの計測1ダムは大きく分類するとコンクリートで水圧を負担するコンクリートダムと、土やロックを盛り立てて堤体を構築し水圧を負担するフィルダムがあります。コンクリートダムの施工管理ではコンクリートの温度や継ぎ目の開閉などを、フィルダムの施工管理では堤体が土やロックで構築されていることから堤体内の土圧・水圧および変位(沈下・水平)などを計測します。

ダムの計測2また、何れのダムも周辺地山の地滑りや地下水及び間隙水圧の挙動計測、また、ダムサイドの岩盤の挙動状態をも監視します。更に完成後の維持管理もコンクリートダムでは、漏水量や堤体内の温度やひずみ、継ぎ目の開閉、基礎岩盤の変位などを、フィルダムでは漏水や堤体内の土圧や変位、監査廊の応力、基礎地盤の変位などを計測管理します。

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